林業で使われる言葉や作業名についてまとめた用語集です。
ARBORIST
樹木医
樹木の健康管理や手入れを専門とする専門家
樹木の管理や治療を専門とする専門家です。アーボリストは、樹木に関する幅広い知識と経験を持ち、安全で確実な方法で樹木への措置を行うことができます12。彼らの業務には、危険木の伐採、樹木の管理・保護、植え付けや育成などがあります。
日本ではまだ一般的ではなく、海外での普及に比べて歴史が浅い職業です。しかし、樹木管理のニーズが高まる中で、需要が増加する可能性があります。
専門家としての認定制度も始まっています。
AXE
斧
木を切り倒したり、薪を割ったりするための手動工具鋭い刃と長い柄を持つ
伐採や枝払いなどの基本的な作業に使用される伝統的な道具です。近年ではチェーンソーが主流となり、斧の使用頻度は減少していますが、軽量で扱いやすく、細かい作業や手作業が必要な場面では依然として重要です。また、斧はエンジンや電力を必要としないため、環境負荷が少なく、持続可能な林業活動に適しています。熟練者による安全な使用が求められます。
CHAINSAW
チェーンソー
エンジンや電動モーターで駆動する、木を切るための機械高速で回転する鎖状の刃を持つ
林業において木材の伐採や加工を効率的に行うための重要な機械です。エンジン式や電動式があり、短時間で作業を進められる一方、キックバックなどの事故リスクが伴います。適切な操作技術や安全装備、防護衣の着用が不可欠であり、初心者は講習を受けることが推奨されます。また、定期的なメンテナンスも安全性向上に重要です2。
CLEAR CUTTING
皆伐
特定の区域の木をすべて伐採する方法
皆伐は、森林の一区画にある樹木を一斉に伐採する方法で、人工林管理で広く用いられています13。伐採後の造林が容易で経済的利点がある一方、地表露出により土壌流出や生態系破壊、気象災害のリスクが高まる問題があります35。特に大面積で頻繁に行うと弊害が顕著であり、適切な面積制限や期間設定が求められます
DEFORESTATION
森林減少
自然回復力を上回るスピードでの大規模な森林伐採や火災などによる森林の消失
森林の皆伐や農地・牧草地への土地転換による森林面積の完全消失を指します。これにより二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスが排出され、気候変動や生物多様性の喪失を引き起こします。日本では森林率が高いものの、持続可能な林業経営が課題となっており、過剰伐採や環境破壊が懸念されています25。解決には適正規模の林業や地域資源活用が重要です
FELLING
伐倒
木を切り倒す作業・行為のこと
伐倒とは、林業において立木を安全かつ計画的に切り倒す作業を指します。基本技術として「受け口」「追い口」「ツル」の切断があり、これにより木の倒れる方向を制御します1。作業中は、伐倒方向の確認や退避場所の確保が重要で、特に周囲の木々や地形の状況を考慮しなければなりません3。また、チェーンソーの使用やクサビの活用など、安全対策と技術的配慮が欠かせません。
FOREST
森林
樹木が密集して生育している広大な土地
森林は、木材生産を目的とするだけでなく、水源涵養、土壌保全、生物多様性の維持、地球温暖化防止など、多面的な公益機能を有しています。また、森林は炭素吸収や洪水緩和、景観提供などを通じて、人々の生活や地域経済に深く関わり、持続可能な社会の基盤となります。これらの機能を最大限発揮するためには、適切な整備と保全が不可欠であり、林業はその役割を担いながら地域雇用創出にも寄与しています。
FOREST CONSERVATION
森林保全
森林生態系を保護し、持続可能な方法で管理する取り組み
森林保全は、自然災害の防止、生物多様性の維持、地球温暖化の抑制など、多面的な機能を持つ森林を守るために不可欠です。主な取り組みとして、伐採後の植林や間伐、地域住民が参加する「コミュニティ・フォレストリー」などがあります。また、国産木材の利用促進や違法伐採の取り締まりも重要です。これにより、持続可能な森林管理を実現し、地域経済や環境保全に貢献します。
FOREST FIRE
森林火災
自然発生または人為的に引き起こされる森林の火災
森林火災は、自然発火や人為的要因(たき火、たばこ、放火など)で発生し、生態系破壊や大気汚染、経済損失を引き起こします。日本では毎年約1,200件が発生し、乾燥や強風が火災拡大の要因となります。対策として、防火林の整備、間伐による適切な森林管理、地域住民への防火教育、早期警戒システムの導入などが有効です。また、初期消火活動や避難計画の策定も重要です。
FOREST MANAGEMENT
森林管理
持続可能な方法で森林資源を管理し、利用すること
森林管理は、森林の多機能性(木材生産、水源涵養、生物多様性保全など)を維持し活用するための計画的な取り組みです。日本では「森林経営管理制度」が導入され、市町村が森林所有者と林業経営者を仲介し、放置された森林の適切な管理や木材生産を推進しています。これにより、地域経済の活性化や災害防止、地球温暖化対策が期待されます。また、所有者が管理できない場合、市町村が直接管理を行い、長期的な森林資源の循環利用を目指しています。
FOREST RANGER
森林監視員
森林の保護や管理を担当する公務員
森林の保護や保全活動を行っています。彼らは森林の巡回や監視を通じて違法伐採や森林火災を防ぎ、病害虫の発生を監視します。また、環境保護活動や植林活動を支援し、データ管理や報告書作成も行います。日本の森林管理は林野庁が主に担当しており、全国に森林管理局が設置されています。森林監視員はこれらの機関や林業関連企業で働くことが多いです。
FOREST REGENERATION
森林再生
伐採や自然災害後に森林を回復させるプロセス
森林再生は、破壊や伐採で減少した森林を自然または人為的に回復させる取り組みです。これにより、二酸化炭素の吸収による地球温暖化の緩和、生物多様性の保護、水資源の保全が図られます。また、混植や間伐などの技術を活用し、土壌改良や森林の多機能化を促進します。さらに、若者の林業参入や地域資源の活用が森林再生と地域活性化を支えています。
FOREST SERVICE
森林管理局
森林資源の管理や保護を担当する政府機関
日本の森林管理局は、林野庁の地方支分部局として全国7か所に設置され、国有林野の管理・経営を担っています。主な役割は、公益的機能を重視した国有林野の管理、森林治水事業、災害防止、そして生物多様性の保全です。また、地域ごとに森林管理署や森林事務所を設置し、具体的な施策を実施しています。さらに、民有林の整備や森林資源の循環利用も支援し、持続可能な林業の発展を目指しています
FOREST STEWARDSHIP
森林管理責任
環境に配慮しつつ森林資源を責任を持って管理すること
日本の林業におけるForest Stewardship(森林管理)は、FSC認証制度が中心です。FSC認証は、環境保全や社会的責任を重視した持続可能な森林管理を推進する国際的な仕組みで、FM認証(森林管理)とCoC認証(加工・流通過程)の2種類があります。これにより、違法伐採の抑制や責任ある木材利用が可能となり、日本国内でも2000年代から普及が進んでいます。また、山梨県などでは大規模なFSC認証森林が管理され、地域社会や環境への貢献が図られています。
FOREST TECHNOLOGY
森林技術
森林管理や木材生産に使用される技術や方法
森林技術は、生産性向上と安全性確保を目的に進化しています。具体的には、伐採から植林までを一貫して効率化する「伐採と造林の一貫作業システム」や、高性能林業機械(タワーヤーダ、ハーベスタなど)の導入が進んでいます。これにより、労働負担やコストが大幅に削減され、安全性も向上しました。また、レーザー計測技術やICTを活用した森林管理の精度向上も注目されています。これらの技術革新は、持続可能な林業の実現に寄与しています。
FOREST TRAIL
森林遊歩道
森林内を通る歩道や小道
森林遊歩道は、林業と地域社会をつなぐ重要な役割を果たしています。これらは森林浴や散策を通じて、人々に自然との触れ合いや健康増進の機会を提供します。また、地域住民との交流を深め、森林の公益的機能や林業への理解を促進する場としても活用されています。さらに、森林セラピーロードとして整備されることで、ストレス解消や心身の健康に寄与する科学的に実証された効果も期待できます
FREE TRUNK
枝払い済みの幹
枝を取り除いた木の幹部分
林業における枝払い済みの幹は、伐採後に木材として利用するための加工を容易にする目的で、幹から枝を完全に取り除いた状態のものです。この作業は「造材」の初期工程で行われ、チェーンソーや斧を用いて幹の付け根から枝を切り落とします。枝払いによって丸太が形成され、その後の加工で木材として完成します。
HARDWOOD
広葉樹材
オークやメイプルなどの落葉広葉樹から得られる木材
広葉樹材は、針葉樹に比べて硬く、耐久性が高いのが特徴で、家具や床材、建築材として広く利用されます。また、木目や色合いが美しく、タモやケヤキ、ナラなどは高級家具や伝統建築に適しています。用途は多岐にわたり、炭や楽器、スポーツ用品にも活用されます4。一方で加工が難しく、塗料の浸透性が低い点もあります。
HATCHET
手斧
小型の斧で、片手で使用できる
手斧(ハチェット)は片手で扱える小型の斧で、軽量かつ携帯性に優れ、薪割りや枝払いに適しています。林業では木材加工や細かな作業に活用され、丸太の表面を滑らかに仕上げる役割も果たします。チェーンソー普及以前は伐採の主力道具であり、現在でも伝統的な技術やログハウス建設で重宝されています。
LOG
丸太
伐採され、枝を取り除いた木の幹
林業において丸太は重要な原材料です。ICT技術を活用した丸太のデジタル情報化が進められており、測定精度の向上や最適造材機能の検証が行われています。日本の木材輸入は丸太から製品へシフトしており、2008年には木材輸入の87%が製品形態でした2。世界的には、ロシアや中国が丸太生産・輸出で大きな影響力を持っています。欧州では、スウェーデン、ドイツ、フィンランド、フランスなどが丸太消費量の多い国となっています。
LOG DEBARKER
丸太剥皮機
丸太から樹皮を除去する機械
丸太剥皮機は、木材の皮を効率的に剥ぎ取る装置で、製紙や木材加工など幅広い産業で使用されています。主に縦型と横型があり、縦型は高速で安定した剥皮が可能で、横型は異なるサイズの木材を同時に処理できます。これらの機械は労働力を削減し、手作業よりも効率的で身体への負担が少ないため、広葉樹や針葉樹など様々な種類の木材に適しています。また、剥皮後の木材は市場価値が向上します。
LOG LOADER
丸太積載機
伐採された丸太を運搬車両に積み込む機械
ログローダーは、林業で木材の積み降ろしや選木・整木作業を効率化するための機械です。特にホイール式ログローダは、広いヤード内での機動力が高く、頻繁な現場移動にも対応可能です。最新モデルでは、作業能力と環境性能を両立し、日本の林業現場に最適化されています。
LOG SCALE
丸太尺度
丸太の体積や価値の測定
林業における「LOG SCALE(丸太尺度)」は、木材取引において丸太の体積や品質を評価する基準です。丸太の直径や長さを測定し、体積を算出することで取引価格を決定します。この尺度は、製材所や市場での安定した取引を支える重要な要素であり、特に高品質な丸太の供給情報が不足すると、取引から撤退するケースもあります。また、丸太尺度は市場の透明性向上や需給調整にも寄与します
LOGGING
伐採作業
商業目的で木を切り倒し、運搬する作業
林業における伐採作業は、「追い口切り」を基本とし、「受け口」と「追い口」を適切に作ることが重要です。安全対策として、適切な服装や防護具の着用、作業前の念入りな打ち合わせが不可欠です。法規制により、胸高直径20cm以上の立木に対する受け口の作成や、立木の高さの2倍の距離内への立ち入り禁止などが義務付けられています3。また、かかり木の速やかな処理や、チェーンソー使用時の下肢保護衣の着用も必要です。
LOGGING PERMIT
伐採許可証
合法的に木を伐採するために必要な公的許可
林業における伐採許可証は、森林法に基づき必要な手続きです。保安林の場合は県知事への「伐採許可申請」が必要であり、一般の森林では「伐採届」を市町村長に提出します。申請時期は伐採開始の90日から20~30日前までが基本です。伐採後には造林計画や状況報告書の提出が求められ、合法性証明として許可書や受理書が発行されます。違法伐採防止のため、適切な手続きが重要です。
LOGGING TRUCK
伐採トラック
伐採した木材を運搬するための大型トラック
林業におけるログトラック(Logging Truck)は、木材の運搬を目的とした車両で、効率的な森林整備に欠かせない存在です。近年では、自動運転技術を搭載した電動トラック「T-log」が注目されています。T-logは最大積載量16トン、電動式でCO2排出がなく、オフロード環境でも自律走行可能です。また、従来のフォワーダや2tトラックは地形や作業条件に応じて使い分けられ、生産性やコスト効率の向上が研究されています。
LUMBER GRADING
木材等級付け
木材の品質や用途に基づいて等級を決定するプロセス
木材等級付けは、木材の品質や強度を評価し、用途に応じた基準を設定するプロセスです。米国では「American Lumber Standard Committee」や「National Grading Rule」に基づき、樹種や寸法、設計値などが規定され、認証機関による検査を経て格付けが行われます。また、日本向けの輸入材では特定の構造基準や目視等級が設定され、均一な品質を確保するために格付け印が表示されます。これにより構造材としての安全性と信頼性が保証されます。
LUMBER INDUSTRY
木材産業
木材の伐採、加工、販売に関わる産業全体
木材産業は、林業で得られる原木を加工し、製材や合板などの製品を製造・販売する産業である。日本では江戸時代に最盛期を迎え、近代化とともに輸入材への依存が進んだが、近年は国産材の利用が拡大している。また、カーボンニュートラルの実現に向け、森林資源の持続可能な活用が求められている。地域経済や雇用創出にも貢献しつつ、効率的な原木供給体制の構築が課題となっている。
LUMBER MILL
製材所
丸太を板や角材に加工する施設
製材所は、伐採された丸太を建築や家具に適した材料へ加工する施設で、林業の重要な役割を担います。地域の製材所は地元材を効率的に活用し、住宅建築や公共事業を支えています。一方、大規模製材所では効率化と国際競争力強化が進められ、地域経済や雇用の活性化にも寄与しています。近年では、小規模現場製材も注目され、運搬コスト削減や付加価値創出が期待されています。
LUMBERJACK
伐採作業員
木を伐採し、丸太を生産する職業の人主に森林で働き、チェーンソーなどの機械を使用して木を切り倒す
日本の林業における伐採作業員は、高度な技術と危険を伴う仕事に従事しています。近年では、安全装置の開発やIT機械の導入により、未経験者や女性も参入しやすくなっていますが、人手不足は依然として深刻な問題となっています。
LUMBERJACK COMPETITION
伐採競技
伐採技術を競う競技イベント
日本の伐採競技「日本伐木チャンピオンシップ(JLC)」は、林業技術や安全意識向上、林業の魅力発信を目的とした全国大会で、2年に1度開催されます。競技は「伐倒」「ソーチェン着脱」「丸太輪切り」など5種目で、効率性や正確性、安全性が評価基準です。プロフェッショナルやジュニアクラスに分かれ、世界大会の代表選手も選出されます。林業の新規就業者育成や地域活性化にも寄与しています
PULP WOOD
パルプ材
紙やその他の木材製品の製造に使用される木材
パルプ材は、製紙産業の重要な原料であり、主に木材チップが使用されています。2018年時点でパルプ生産に使用された木材チップの29%が国産、71%が輸入品でした。針葉樹チップは強度が求められる段ボールや紙袋に、広葉樹チップは滑らかさが必要なコピー用紙に利用されます。国産材の割合は低く、競争力向上が課題です。また、間伐材や低質材の活用が進められ、森林資源の有効利用が模索されています。
REFORESTATION
再植林
伐採や自然災害で失われた森林を再生する過程
日本の林業では再造林が重要課題となっています。現在、主伐(皆伐)後の再造林率は30~40%程度にとどまっており、持続可能な林業のために改善が必要です。林野庁は2030年度までに年間7万ヘクタールの再造林を目標としています2。また、単層林の面積を減らし、天然林や育成複層林への転換も検討されています。再造林の促進には、コスト削減や効率化、適地選定が重要となっています。
SAWDUST
おがくず
木材を切断する際に生じる細かい木屑
林業では、おがくず(製材時に発生する木材粉)が重要な副産物として活用されています。特に、キノコ栽培の培地やバイオマテリアルの原料として利用されており、新たな需要を生み出しています。例えば、マッシュルームレザーの普及が進めば、おがくずの需要拡大と木材価値向上が期待されます1。また、木質バイオマスとしてエネルギー利用にも注目されており、循環型社会の構築に貢献しています
SAWMILL
製材所
木材を切断し、加工する施設
製材所は、国産材の加工・供給を担い、林業の重要な基盤となっています。戦後植林された人工林が伐期を迎え、木材資源は豊富であるものの、効率的な原木調達や大規模工場への生産集中が課題です。製材所は、乾燥やプレカット加工などを一貫して行い、住宅建築や非住宅分野への木材利用拡大に貢献しています3。また、木質バイオマス発電などの新技術導入も進められています。近年では、大規模化や地域連携による効率化が進む一方、小規模工場の存続は厳しい状況です。
SOFTWOOD
針葉樹材
松やモミなどの針葉樹から得られる木材
日本の林業はスギ、ヒノキ、カラマツなどの針葉樹を主体とし、人工林が中心です。これらは成長が速く、建築材として直材を得やすい特徴がありますが、木材価格の低迷や再造林の停滞が課題となっています。一方で、広葉樹材への注目が高まっていますが、針葉樹材に比べ加工技術や乾燥が難しく、利用には課題があります。
STUMP
切り株
木を切り倒した後に残る根元の部分
林業では伐採後に残る切り株が重要な役割を果たします。切り株は苔や新たな植物の栄養源となり、次世代の生命を育む土台となります3。また、根や切り株は自然に腐敗し、土壌に還元されることで森林の生態系を維持します。一方で、計画的な伐採と植樹が行われない場合、切り株や根が放置され、環境問題や資源の減少につながる可能性があります。適切な管理が森林再生と環境保全に不可欠です。
TIMBER
木材
建築や製造に使用される、伐採された木
日本の林業は、戦後造成された人工林が利用期を迎え、国産材の需要拡大が急務となっています。国内では木材利用促進運動「木づかい運動」などが展開され、公共建築物や民間建築物での木材利用が進められています。また、輸出面では新興国の需要増加に対応し、付加価値の高い製品輸出や新規市場開拓が進められています。しかし、伐採不足や高齢化による担い手不足など課題も多く、持続可能な林業経営が求められています。
TIMBER CRUISER
森林調査員
森林資源を評価し、木材の量や質を推定する専門家
森林調査員は、森林の状態や境界を調査・測量し、データ化する重要な役割を担っています。主な業務には、樹木の種類や数量の調査、伐採面積の測量、山林所有者の調査が含まれます。また、森林整備事業に関する指導や、補助金申請業務も行います。近年では、森林境界の明確化が課題となっており、過去の資料や聞き取りを基に、現場での測量作業を通じて境界線をデータ化する作業も重要になっています。
TIMBERLINE
森林限界線
高度や気候条件により樹木が生育できなくなる境界線
日本の森林限界は、本州では標高2,000~3,000メートル付近に位置し、北海道では1,000~1,500メートル付近にあります。気温、降水量、湿度などの環境要因により決定されますが、地球温暖化の影響で上昇傾向にあります。富士山南斜面では2,500メートル付近に森林限界があり、150~200メートルの幅で移行帯が観察されています。この変化は日本の森林生態系に重要な影響を与える可能性があります。
TREE BARK
樹皮
木の幹や枝を覆う外層
日本の林業では、樹皮は木質バイオマス資源として重要な役割を担っています。製材工場などで発生する樹皮は年間約850万立方メートルに及び、その約95%が製紙原料や燃料、家畜敷料などに利用されています。また、未利用間伐材や枝条とともに、樹皮のさらなる活用が課題とされています。これにより、林業の効率化や新たな需要の創出が期待されています。
TREE CANOPY
樹冠
木の枝葉が広がる上部の層
樹冠は、森林管理や木材生産において重要な役割を果たしています。樹冠は樹木の上部で枝葉が集まった部分を指し、光合成を行い成長を支える要素です。特に人工林では、樹冠の大きさや形状が間伐選木の基準として利用され、胸高直径の成長量と密接に関連しています。また、樹冠の管理は森林の多面的機能を維持し、持続可能な林業経営を実現するためにも重要視されています
TREE CLIMBING
木登り
専門的な技術や装備を使用して木に登る活動
日本の林業では、伝統的な縄を使った木登りが杉や檜の種子採取や枝打ちに用いられてきましたが、安全性に課題がありました。近年は欧米発祥の「特殊伐採(アーボリカルチャー)」が導入され、ロープやハーネスを活用した安全で効率的な技術が普及しています。この技術は樹木の保全や景観管理にも応用され、林業の新たな可能性を切り開いています。一方で、安全教育の重要性も指摘されています。
TREE RING
年輪
木の成長を示す同心円状の層
年輪は樹木の成長と環境条件を示す重要な指標です。年輪は春から夏の早材(明色)と秋から冬の晩材(暗色)で構成され、その数で樹齢を判断できます13。年輪の幅や色の変化は過去の気候条件や災害の影響を反映し、林業での適切な伐採時期や森林管理の決定に役立ちます。また、年輪年代学として研究が進められ、森林の生育環境の歴史調査にも活用されています。
TREE SURGEON
樹木外科医
樹木の健康を維持し、病気や損傷を治療する専門家
樹木外科医(樹木医)は、樹木の診断・治療を専門とする職業で、巨樹や老樹、公園や街路樹などを対象に活動します。樹木の健康状態を調査し、病害虫駆除や腐朽部の治療、土壌改良、剪定などを行い、適切な生育環境を整えます。また、予防措置や緑化計画への助言も担い、木々の生命を守る重要な役割を果たしています。
WOOD PILE
薪の山
暖房や調理用に積み上げられた薪の集まり
間伐材を活用し森林整備を促進する重要な役割を果たしています。間伐は森林の健全な成長を維持するための作業であり、間伐材が薪として利用されることで廃棄が防止され、林業者の収入源となります。また、薪の利用は地元産材の活用を通じて森林資源の循環や地球温暖化防止にも寄与します17。薪の生産には乾燥や加工が必要で、地域経済や雇用にも貢献しています。
WOOD PRESERVATION
木材保存
木材の腐敗や劣化を防ぐ処理や技術
「和錬(われん)」のような新技術は、エステル化改質加工により木材の曲がり・反り・割れを防ぎ、防腐防蟻性能も向上させています。これにより、国産材の活用が促進され、持続可能な森林資源の利用に貢献しています。また、木材の長期利用を可能にすることで、炭素固定にも寄与し、低炭素社会の実現に向けた取り組みの一環となっています。
WOODCUTTER
ウッドカッター
職業として木を切る人
木を切り倒し、薪を割る職業の人を指します。一般的には、木材を商業目的で伐採し、加工する人を意味します1。この職業は、主に農村部や森林で行われ、体力と機械操作能力が求められます。
よく比較される言葉にLUMBERJACKがありますが、特に北米で使われるLUMBERJACKは、木を切り倒したり、切ったり、運んだりする仕事を指します。また、WOODMANとも比較されますが、こちらは木工技術を使って完成品を作ることに焦点を当てた職業です。
WOODWORKING
木工
木材を使用して物を作る技術や工芸
日本は国土の約67%が森林で、スギやヒノキを中心とした木材生産が行われていますが、木材自給率は41.1%に留まり、多くを輸入材に依存しています。林業従事者の減少や高齢化が課題となる中、政府は「森林・林業再生プラン」などを通じて国産材の活用促進や雇用創出を目指しています。特に人工林の適切な伐採と再植林が持続可能な資源管理や温暖化防止に重要です1。また、木製家具の輸出など新たな市場開拓も注目されています。